『やがて君になる』慎聖司を見てると背中の十字架の重さを自覚させられて辛い

どうも、ぜんらまるです。

今日は仲谷鳰先生の『やがて君になるについて、ダイレクトマーケティングのつもりのネカティブキャンペーンを行いたいと思います。

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電撃コミックスNEXT,仲谷鳰やがて君になる』1巻カバー表1

 

やがて君になる』は「好き」を知らない少女・小糸侑と、彼女に思いを寄せる先輩・七海燈子の二人の恋模様を描く、ソフトなタッチでコーティングしたコールタールのような、百合漫画界のリーサルウェポンみたいな漫画なんですけど。

 今日お話したいのは主役二人についてではなく、作中に登場する「慎聖司」という男性キャラクターについてです。

 

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慎聖司。顔が良い出歯亀野郎。『やがて君になる』2巻p33

「百合漫画なのに男出てくるのかよ!」という持論の方は、ここでお帰りいただいて結構です。どうぞ夜道にお気をつけて。

 あ、あとネガキャン始めて潜在読者減っても申し訳ないので、興味を持った方はこんな駄文読まずに公式で4話まで読んでさっさと単行本寝て下さい。

comic-walker.com


 予防線張り巡らせたので気を取り直して。
 慎聖司は、主役である二人の秘密を知りながら、当て馬にもならない、ただただ傍観者としての姿勢を堅持するという、なかなか稀有なキャラクターなんですが。

 


 実のところ、慎聖司って俺なんすよ。

 


 いやごめんなさい嘘です。いや嘘じゃないんですけど。
 先述の通り、慎はあくまで傍観者(時折小糸の相談相手としての役割を果たしているものの)として登場していますが、そのポジショニングは彼自身の嗜好に依るところが大きく、簡単に言ってしまうと「他人のすったもんだを覗き見するのが大好きな出歯亀野郎」だと思うんですよ。

 

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観察対象に恋愛感情を向けられ失望する慎。傲慢の極み。『やがて君になる』2巻p55

 彼の心理描写からは、時折その傲慢さを垣間見ることができます。

 こんなキャラクター性とポジショニング故に、一部の百合豚(特に学校の壁や床と同化して女の子の秘め事を覗き見たいタイプのどうしようもない変態)からは嫉妬と憎悪の視線を送られてい(ると思い)ます。

 わかりやすい言葉に置き換えれば「お前そこ代われ!」というアレです。つまり彼は一部の読者の共感対象として機能しているといいますか、登場人物の中では一番読者との距離が近いキャラクターとして配置されているんだと思います。

 

 とここまで考えてようやく気づいたんですが。

 たとえ「イケメンで」「二人の間に介入しようともしていない」慎聖司でも、「男のくせに」「傍観者を気取る」だけでここまで傲慢に写るなら、一体読者である俺はどれだけ傲慢で醜悪なのか というあったり前のことに。

 

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作中男性でもトップで顔が良い慎。男の娘でも通じる。『やがて君になる』2巻p37


 出歯亀美少年ことハイスペック百合豚である慎聖司 vs 次元の壁の向こうから女性同士の秘事を見つめる成人男性俺。どう見てもより醜悪なのは俺の方です。ごめんなさい槙くん。君の傲慢さはそのまま俺自信の傲慢さだったんだ。

 コンテンツとして同性愛を消費する成人男性の醜さを写し出す「鏡」としての槙。

 私見ですが、百合漫画に名脇役的な「男」の存在はむしろ欠かせないものと思っています。そして慎聖司は、数ある百合漫画の中でも、男性読者の心を的確に抉ってくる秀逸なキャラクターとして造形されていると思います。

 以上、『やがて君になる』のダイレクトマーケティングのつもりのネカティブキャンペーンでした。